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2011年4月14日
4月12日付最高裁判決【業務委託契約と労働者性】

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110413094337.pdf

【業務委託契約と労働者性】
最高裁は、会社と業務委託契約を結んだ個人事業主との間の具体的な事実関係を詳細に検討した上で、労働者性を認定しました。
「被上告人(会社)は,主として約590名いるCEをライセンス制度やランキング制度の下で管理し,全国の担当地域に配置を割り振って日常的な修理補修等の業務に対応させていたものである上,各CEと調整しつつその業務日及び休日を指定し,日曜日及び祝日についても各CEが交替で業務を担当するよう要請していたというのであるから,CEは,被上告人の上記事業の遂行に不可欠な労働力として,その恒常的な確保のために被上告人の組織に組み入れられていたものとみるのが相当である。
「また,CEと被上告人との間の業務委託契約の内容は,被上告人の定めた「業務委託に関する覚書」によって規律されており,個別の修理補修等の依頼内容をCEの側で変更する余地がなかったことも明らかであるから,被上告人がCEとの間の契約内容を一方的に決定していたものというべきである。
「さらに,CEの報酬は,CEが被上告人による個別の業務委託に応じて修理補修等を行った場合に,被上告人が商品や修理内容に従ってあらかじめ決定した顧客等に対する請求金額に,当該CEにつき被上告人が決定した級ごとに定められた一定率を乗じ,これに時間外手当等に相当する金額を加算する方法で支払われていたのであるから,労務の提供の対価としての性質を有するものということができる。
「加えて,被上告人から修理補修等の依頼を受けた場合,CEは業務を直ちに遂行するものとされ,原則的な依頼方法である修理依頼データの送信を受けた場合にCEが承諾拒否通知を行う割合は1%弱であったというのであって,業務委託契約の存続期間は1年間で被上告人に異議があれば更新されないものとされていたこと,各CEの報酬額は当該CEにつき被上告人が毎年決定する級によって差が生じており,その担当地域も被上告人が決定していたこと等にも照らすと,たといCEが承諾拒否を理由に債務不履行責任を追及されることがなかったとしても,各当事者の認識や契約の実際の運用においては,CEは,基本的に被上告人による個別の修理補修等の依頼に応ずべき関係にあったものとみるのが相当である。
「しかも,CEは,被上告人が指定した担当地域内において,被上告人からの依頼に係る顧客先で修理補修等の業務を行うものであり,原則として業務日の午前8時半から午後7時までは被上告人から発注連絡を受けることになっていた上,顧客先に赴いて上記の業務を行う際,Cの子会社による作業であることを示すため,被上告人の制服を着用し,その名刺を携行しており,業務終了時には業務内容等に関する所定の様式のサービス報告書を被上告人に送付するものとされていたほか,Cのブランドイメージを損ねないよう,全国的な技術水準の確保のため,修理補修等の作業手順や被上告人への報告方法に加え,CEとしての心構えや役割,接客態度等までが記載された各種のマニュアルの配布を受け,これに基づく業務の遂行を求められていたというのであるから,CEは,被上告人の指定する業務遂行方法に従い,その指揮監督の下に労務の提供を行っており,かつ,その業務について場所的にも時間的にも一定の拘束を受けていたものということができる。
「なお,原審は,CEは独自に営業活動を行って収益を上げることも認められていたともいうが,前記事実関係等によれば,平均的なCEにとって独自の営業活動を行う時間的余裕は乏しかったものと推認される上,記録によっても,CEが自ら営業主体となって修理補修を行っていた例はほとんど存在していなかったことがうかがわれるのであって,そのような例外的な事象を重視することは相当とはいえない。
「以上の諸事情を総合考慮すれば,CEは,被上告人との関係において労働組合法上の労働者に当たると解するのが相当である。

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